<   2010年 04月 ( 11 )   > この月の画像一覧

AnestAssist近況

AnestAssitですが、
594のダウンロードに対して、日本でのダウンロードが373になったという連絡が来ました(ちなみに私はこの件に関して何らconflict of interestはありません)。あくまで有用なソフトウェアを紹介するのとさらなる改善に協力するというスタンスです。

ただ販売ランキングの推移をみると明らかにLiSA4月号以来ダウンロードが伸びているのが分かります。http://www.appannie.com/anestassist-pkpd/ranking/history/#store_id=143462&start_date=2009-07-27&end_date=2010-04-28

早くiPadで使ってみたいですね。
[PR]
by yamorimo | 2010-04-29 23:06 | 電脳グッズ | Trackback | Comments(0)

TIVA再入門⑬

TIVA再入門。今回は麻酔維持期に知っておきたいことなどです。

前回説明したように、麻酔維持中はレミフェンタニルの影響などでBISでプロポフォールの効果を判断するのが難しくなります。そこで、手術開始前にレミフェンタニルのdoseを下げた状態でBISが40-50になるようにプロポフォールの目標血中濃度を設定してあとはあまり変化させずに維持することを勧めています。術中の調節は基本的にはレミフェンタニルで行います。
しかし、いろいろな要因でTCIで一定にしていてもプロポフォールの濃度は変化してしまいます。最も注意が必要なのは心拍出量です。

心拍出量の影響については「臨床麻酔」3月号の中尾先生の総説に紹介されているので参照して下さい。基本的には心拍出量が高くなるとプロポフォールの血中濃度は低下し、低くなると血中濃度は高くなります。従って、レミフェンタニルの併用は心拍出量を低下させてプロポフォールの血中濃度を高くすることが知られています。一方、カテコラミンの使用はプロポフォールの血中濃度を低下させる可能性があります。
このような理由でsepticなハイパーダイナミックの症例ではTIVAを避けた方がいいだろうと思います。
一方でこれは私見ですが、覚醒時に心拍数が40くらいの人はアトロピンで心拍数を上がるとすぐに覚醒するような印象も持っています。

この他プロポフォール麻酔中の注意点については「麻酔薬の薬物動態」(真興交易)が詳しいです。今日から実践できるTIVAとTIVA2、そして麻酔薬の薬物動態の3冊はTIVAを実践する上での必読書です。
[PR]
by yamorimo | 2010-04-29 21:28 | 電脳麻酔学入門 | Trackback | Comments(2)

臨床モニター学会レポート

続いて臨床モニター学会のレポート。

新しいアルゴリズム、灌流指標PI、脈波変動指標PVI
-全身麻酔管理にどう生かすか-
伊藤先生(東海大学)

PIとPVIの一般的な部分は省略。

利用法として輸液反応性以外に、麻酔深度のモニタとしても使えるのではないか?

PIとPVIは自律神経反応を反映する。
例えば、挿管前後でレミフェンタニルが0.3μg/kg/min投与ではPIが低下するが、0.5μg/kg/minでは変化しない。

腹腔鏡手術では気腹操作によりPIは低下し、PVIは上昇する。head downではPVIは低下する。

信頼できないケースとしては
PIの前値が著しく低値
頻回の体位変換などがある

輸液反応性の指標としてはPVIは有用だが、入れすぎの指標にはならない
心不全傾向の人にはCVPなどと併用して判断する

周術期循環評価における非侵襲的 SpHbモニターの有用性と限界
中西先生(日本医科大学)

SpHbはMasimo社のパルスオキシメーターで測定できる
8波長以上使用することでHb濃度を連続的に測定できる

PIやPVIと同時に測定できるので急激な出血などの評価ができる
現在精度を評価中でまだ市販されていない

どちらもMasimoのパルスオキシメーターの新機能ですが、最後のSanuki先生の講演後に、日本光電の青柳さんが色さえついていれば何でもパルスオキシメーターで測れると発言されていました。
ということでパルスオキシメーターには注目です。

術中覚醒シンポの内容については、「臨床麻酔」6月号に掲載されると思います。
またSanuki先生の講演も同様のものがヤンセンのWeb講演会で視聴できる様です。半分しか聴けなかったのでこちらも省略です。

臨床モニター学会は一時期低調でしたが、フロートラックの登場あたりからネタが増えてきたのと、土曜日1日の予定になった(以前は金曜日から土曜日の午前だった)ので勉強に行くにはよい学会だと思います。
ただ以前は産婦人科、循環器内科などの先生も参加していましたがほぼ麻酔科の学会になった感はあります。
[PR]
by yamorimo | 2010-04-26 22:13 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)

ブリディオン発売記念講演会そのに

後半は、日本医大の鈴木先生。ロクロニウムの講演でもお馴染みですね。
ブリディオンが変えるこれからの筋弛緩コントロール
- one minutes onset and one minute offset -

スガマデックスの投与量の目安

ロクロニウム投与直後 16mg/kg
1-2 in PTC 4mg/kg
T2 in TOF 2mg/kg

スガマデックスは血中のfreeのロクロニウム濃度を下げることで神経筋接合部からロクロニウムを血中に引き戻す

スガマデックスとロクロニウムの複合体は尿中へ排泄
腎不全患者では半減期1000時間程度(透析でどの程度抜けるかはまだ不明?膜にもよる)

結合率
ロクロニウム 100とすると
ベクロニウム 32
パンクロニウム 14

ベクロニウムの拮抗には倍量が必要

今後のロクロニウムの使用としては持続投与が増えるだろう

重症筋無力症患者にもロクロニウムとスガマデックスの使用で安全に管理できたとの報告がある

妊婦に対しては、胎盤を通過しない

乳汁には少量移行するが、消化管からは吸収されないので安全

スガマデックス投与に再挿管が必要になった場合
EU諸国では次のロクロニウム使用まで24hあけるとされている
日本ではロクロニウム or ベクロニウム or SCCしか選択がない

このためロクロニウムを1mg/kg以上使用するのがよいだろう
作用発現は3分とやや時間がかかる
作用時間は短くなるので筋弛緩モニタは必要

スガマデックス投与から30分以後であればロクロニウムは迅速に作用

ロクロニウムやベクロニウムによりアナフィラキシーショックが起こった場合にスガマデックス投与は有用かも(どうやら先週SH先生が質問された様子)

ワゴスチグミンとスガマデックスの併用はメリットがないので勧められない
サクシニルコリンの作用持続時間よりもロクロニウムとスガマデックスの併用の方が持続時間は短い(もうサクシニルコリンは必要ない)
つまりこれまでは短時間での作用発現を期待して1mg/kgのロクロニウムを使うと、CICVになった場合だけでなく、短時間の手術ではちょっと困っていたがこれがスガマデックスで拮抗可能ということでよりロクロニウムが使いやすくなったということだろう

最後に2人の演者とももうネオスチグミンは使用せず、全例スガマデックスを使うということで締めくくりとなった
[PR]
by yamorimo | 2010-04-25 11:07 | 麻酔 | Trackback | Comments(3)

ブリディオン発売記念講演会

この種のイベントをみておくのもいいだろうと思いブリディオン発売記念講演会に参加した。
小雨の東京は寒くコートを着ている人が多かった。

まず、東邦大学の小竹先生。これまでの筋弛緩薬拮抗における課題と今後について。

これまでは抜管時の筋弛緩の回復はTOFRで0.7程度が目安だったが現在では0.9が目安となっている。

これは残存筋弛緩薬によるupper airway compromiseとchemoreceptor dysfunction(A and A 1999;89:243)が注目されてきたことによる。
PACUにおけるcritical respiratory eventが発生したのはTOFR<0.7の症例だった(A and A 2008;107:103)。

ロクロニウム使用時のTOFR<0.9である頻度は日本での他施設研究では22%であった。残存筋弛緩がみとめられた症例は手術時間が長い、高齢などの要因があった。
この頻度は海外でも同様である(Anesthesiology 2003;98:1042)。

これまでの筋弛緩薬の拮抗は抗コリンエステラーゼ剤を使用していたがいくつかの問題点がある。

深い筋弛緩状態では作用が不十分
完全な拮抗までに時間がかかる
至適投与量の決定が容易ではない
ムスカリン作用

抗コリンエステラーゼ剤の作用には天井効果があり、投与量を増加させても無効となる。
報告では70μg/kgで天井効果を示した(Anesthesiology 1990;73:410)。

拮抗には麻酔科医の感覚よりも時間がかかり、TOF2で拮抗すると17.6分必要である。

投与量が少ないと不完全拮抗や再クラーレ化の危険がある。
一方で過量投与では脱感作ブロック(筋弛緩の完全回復時に抗コリンエステラーゼ剤を投与すると筋力低下)を生じる(Anesthesiology 2007;104:621)。

Review(A and A 98:102)では、
パンクロニウムは使用しない
筋弛緩モニタの使用を推奨
T1が消失するような深い筋弛緩状態は回避
拮抗薬投与を省略しない(TOFR>0.9では省略)
TOF2 or 3を確認してから拮抗

質疑ではネオスチグミンの投与量としては脱感作ブロックのことを考えるとmax70μg/kgだろうとのコメント

長くなったので次回に続く(臨床モニター学会の報告はその後に)
[PR]
by yamorimo | 2010-04-24 23:57 | 麻酔 | Trackback | Comments(3)

1Q84 book3

いよいよ1Q84 book3が発売になった。本には読まれるべきタイミングがあるというのが持論だが、早速読了した。

ネタバレするつもりはないが、入り口があれば出口もあるという終わりであった。でも出口は入り口なんだよと。
もちろんbook3の発売まで時間があったのでこれがベストな結末かというといろいろな感想があるだろう。個人的には納得であるが、自分なりの結論があればあえて読まなくてもよいと思う。

余談だが、私は個人的にはアナログ人間で、1984年くらいの世界(私やSanuki先生は大学生だろうか)が丁度よい。パソコンというよりはワープロ専用機の出始めくらい。音楽はCDが普及前でレンタルレコ-ドを借りてきて、カセットテープという時代だった。

「青豆はカセットテープを巻き戻すように思考を遡る」

実にアナログな表現である。もちろんデジタルな時代の文学というのもあるとは思うが、、
[PR]
by yamorimo | 2010-04-16 20:54 | その他 | Trackback | Comments(2)

ブログの英訳

sanuki先生のブログにAnestAssist PK/PD ver1.5の話題と作者が日本語でかかれた内容を英訳して理解しようと努力したくだりが紹介されている。
実際、最近のオンラインの自動翻訳は馬鹿にはできない。このブログの右欄下の機能を使うと、本ブログの内容を各国語に自動翻訳することができる。英訳してみると結構意味は伝わりそうである。その意味では言語による国境はなくなりつつあるのかもしれない。

例えば彼の手紙から私のLiSAの記事の自動翻訳(google)を紹介してみる。

To the Editor: 390
The most powerful application for cyber anesthesiologist: your iPhone AnestAssist PK / PD with or not?


390と付くのが意味不明だがあとはOK。電脳麻酔科医はcyber anesthesiologistになるようだ。
Exciteの自動翻訳だと、電脳麻酔は、electronic brain anesthetizingとお馬鹿だが、googleは優秀だ。
[PR]
by yamorimo | 2010-04-15 21:02 | その他 | Trackback | Comments(2)

Google英文ライティング

Googleをオンライン辞書や用例の検索として使う方法は以前から紹介しているが、この分野の新しい本として「Google英文ライティング」が発売されている。

基本的な使い方から、ネイティブチェックの方法までGoogleの活用法が満載で使いこなしているつもりの私も目から鱗状態である。この本は買って損はないと思う。

ついでにネイティブチェックだが、今回久しぶりに使ったが以前より安価(円高の影響か?)で作業も早くて役に立った。やはり後学のために短い英文抄録程度でもネイティブチェックを受けておくべきと思った。
今回使ったのはこちら。いい英文になっていたし、PDFで資料ももらえたのでお勧めしたい。
[PR]
by yamorimo | 2010-04-13 23:13 | 英語 | Trackback | Comments(1)

TIVA再入門⑫

今回は高用量レミフェンタニルと脳波変化について実際の症例を示します。

30歳台の男性で、膝の関節鏡手術(ターニケットなし)の麻酔例です。

LORのプロポフォール濃度は1.5μg/mlであり、目標血中濃度を2.5μg/ml、レミフェンタニル0.1μg/kg/minに設定しましたが、BISが50を超えているので少しプロポフォール濃度を上げて2.7μg/mlで維持しました。
この段階で、BISは45前後で安定しています(図上段)。
手術開始前にレミフェンタニルを一時的に0.5μg/kg/minにあげた後、0.25μg/kg/minで維持しました。BIS、血圧、心拍数ともに手術開始後もほとんど変化せずいい感じで麻酔が維持できています(図中段)。脳波も手術前とほとんど変化しません。
ここで、レミフェンタニルを0.5μg/kg/minにあげてみます。濃度が安定する15分後くらいから、脳波の振幅が小さくなり、脳波自体も軽度徐波化してきました。このような脳波では通常BISは30台になります。
a0048974_21573982.jpg



この様なレミフェンタニルの脳波への影響を考えると、手術執刀前にレミフェンタニルのdoseを低下した状態で維持に必要なプロポフォール濃度をある程度評価しておいて手術中はあまり変えない方がいいと考えています。こんな感じで維持すると例のtriple lowになってしまうのですが、麻酔の考え方が違うのでこれは許容されるのではないでしょうか?

今のところ高用量のレミフェンタニルでBISが低下しているからといって、プロポフォール濃度を低下させるのは危険だと思います。

次回は麻酔維持中に知っておきたいtipsなどです。
[PR]
by yamorimo | 2010-04-10 22:01 | Trackback | Comments(0)

TIVA再入門⑪


TIVA再入門はBISモニタとレミフェンタニルの話題に移ります。

まず、症例報告から。

Vassiliadis M, et al.
Awareness despite low spectral entropy values.
Anesth Analg 2007;105:535

これはBISではなくエントロピーモニターの報告です。

症例は28歳、103Kgの女性。緊急虫垂切除術が予定された。
麻酔はレミフェンタニル100μgとプロポフォール180mg、ロクロニウム80mgで導入し、
プロポフォール2.4mg/kg/h~3.6mg/kg/h(原文から換算)とレミフェンタニル0.1-0.3μg/kg/minで維持した。エントロピー値は35~60で維持されていた。術中の血圧上昇はなかった。
しかし術後訪問で術中に覚醒していたことが判明した。

editorのコメントとして、GEにコンタクトを取ったがレスポンスがなかった旨が記載されている。

この症例は一見して、プロポフォールの投与量が少ない印象があります。身長が記載されていませんが著者らは肥満患者ということで少なめに投与したのかもしれません。一方でレミフェンタニルについてはもし肥満患者だったのであれば量が多かった可能性があります。
私が危惧するのは、高用量のレミフェンタニルを使用したTIVAではレミフェンタニルが脳波の徐波化など影響を与えてこれに対応してプロポフォールを減量することで術中覚醒を招いているのではないかということです。

実際にこの症例にはコメントが付いています。

Yli-Hankala先生(フィンランド)
この症例のプロポフォール投与速度は発売元の推奨よりも少ない。
症例のプロポフォール効果部位濃度は1-1.5μg/mlで、レミフェンタニルは8-10ng/ml程度である。
レミフェンニタルによる脳波の徐波化がこの症例のエントロピー値が低値であった原因と考えられる。より低量のレミフェンタニル(6ng/mlまで)であれば患者の意識とエントロピー値は一致した可能性がある。

原文より、
Large opioid doses change the EEG apart from their unreliable effect on consciousness.
Remember:EEG during anesthesia is never a universal direct measure of consciousness, but an indicator of drug effect!

Strandbergさん(フィンランドのGEの方か?)
この特別な症例はオピオイドと筋弛緩薬が使用され、プロポフォールが充分使用されていなかったケースと考えられます。レミフェンタニルによる徐波化によって脳波モニタがプロポフォールによる意識への作用を正しく評価できなかったケースと考えられます。このような症例はBISについても報告されています。
レミとプロポフォールについて効果部位濃度のグラフあり(上記コメントと同様)。
コメントもほぼ同様。

このようにレミフェンタニル単独で脳波に影響を与えるdoseを使ってしまうとプロポフォールによる鎮静作用をうまく評価できず、低いBISやエントロピー値に対応してプロポフォールのdoseを下げると術中覚醒を起こす可能性があるということは意識しておく必要があります。
プロポフォールとレミフェンタニルの併用はloss of responseに関しては相互作用があります。loss of consciousnessについてはやや疑問がありますがこれも相互作用があるとしても、オピオイドには記憶に対する作用がありません。意識がないようでも患者に術中の記憶が残ってしまう可能性はあるというのがこの症例報告から分かります。

ではどの程度使うと影響があるのでしょうか?
Millerの教科書のFigure27-8に各オピオイドの濃度と脳波への影響がまとめられています。
レミフェンタニルの場合は10ng/mlくらいから脳波の徐波化がみれらそうです。実際にはプロポフォールの効果がこれに加わるのでもう少し低い濃度でも影響があるかもしれません。
とするとレミフェンタニルが0.4μ/kg/minくらいからは影響があると考えてよいでしょう。紹介した症例はやはり肥満の影響でレミフェンタニルが予測よりも高くなっていた可能性もあると思います。

次回は、実際の症例で上記の仮説を説明します。
山場に入ってきましたがこの辺りは臨床モニター学会ネタなので更新はゆっくり目になると思います。
[PR]
by yamorimo | 2010-04-03 17:13 | 電脳麻酔学入門 | Trackback | Comments(4)