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診療報酬疑義解釈について

4月の診療報酬改定でいろいろお困りのこともあるかと思います。

日本麻酔科学会の会員向けページに診療報酬疑義解釈についてが掲載されています。

分離肺換気の時間はいろいろ解釈が変わりましたが、挿管から抜管までになりました。ただし食道手術などでは胸部操作中のみです。通常は体位変換時にシングルルーメンチューブに代えるでしょうからそこまで。実質麻酔料が減額になる施設もかとは思いますが、これまでが取りすぎていたということになるのでしょう。
その他必ずご確認下さい。
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by yamorimo | 2008-07-27 23:26 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)

神経ブロックと上肢麻痺

このブログでは基本的に超音波ガイドによる神経ブロックを推奨している。また私自身は単回のブロックであれば全身麻酔後に施行するのを原則にしている。
全身麻酔後に神経ブロックを行うことの是非についてはこれまでにもいろいろ議論がある。私の考えは全身麻酔後であっても超音波ガイド下に施行するブロックは、放散痛を頼りに行っていたブロックよりも安全であろうということ。ただし安全に施行するにはそれなりの性能を持った装置と術者の経験が必要であろうとは思う。
さて、恐らく斜角筋ブロック後に上肢に麻痺が残り患者に8290万賠償で示談が成立(元の報道はこちら)したという。
いつもながら新聞の報道はよく分からないが、病院側の対応もよく分からない。少なくとも分かることはこの病院では全身麻酔に神経ブロックを併用することは止めたということなのだろう。

麻痺が起こった機序はよく分からないが、手術との関連の方が高いのではないだろうか。
私からいえることは、神経ブロックを開始する際は外科側の理解を十分に得たうえで簡単なブロックからはじめることをまずお勧めしたい。上肢の場合は手術中の神経障害との兼ね合いが常につきまとうので、適応に関しては整形外科医と相談の上、患者に充分に説明後施行する。特に若い患者であれば術後手が痺れるのはいやなのでと断られることも多い。麻酔薬自体も、成書には0.75%アナペインを使用と書かれているが、0.375%程度の濃度で充分である。使用量も20mlを最大としている。要は手術終了時には痺れ感はあるものの離握手は可能というレベルが安全である。同様に術後の上肢の感覚が戻るまでの神経麻痺にも注意が必要である。肢位や圧迫に注意する。
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by yamorimo | 2008-07-27 17:23 | PNB | Trackback | Comments(0)

研修医のための携帯エコー活用法ポケットマニュアル

昨年超音波ガイド下神経ブロックの本は2冊発売されこれを機会にブロックに挑戦している人も多いかと思う(ちなみに私が関与した方はめでたく増刷された)。この「研修医のための携帯エコー活用法ポケットマニュアル」は研修医はもちろんだが、エコーに興味を持った麻酔科医のための各種活用法を示した本として時期を得たものだと思う。執筆者も私が師と仰ぐSato先生をはじめ、Hirosaki大学の先生方で固められており信頼できる。中心静脈穿刺や神経ブロックだけでなく、深部静脈血栓症や頸動脈エコーなど各種の方面での活用法が示されている。
残念なのは、当然ながら総花的になっており個々の活用法についてはさらに詳しい教科書が必要かもしれないということ。いずれにしても携帯型エコーの活用法を示した唯一の本としてお勧めしたい。
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by yamorimo | 2008-07-26 23:04 | 書評 | Trackback | Comments(0)

レミフェンタニルの投与量

レミフェンタニルの話題に戻る。

すでに麻酔科学会でも発表したが、昨年と比べると麻酔維持期のレミフェンタニル投与量は減ってきたという印象がある。
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昨年は使用ガイド通り、0.25μg/kg/min程度を使っていたのが今年の調査では0.1-0.2μg/kg/minのレンジが多数派になっている。その分併用するセボフルランやプロポフォールの量としては増えているのでこれでバランスは取れているのかもしれないが、高用量が使用できるのが売りのレミフェンタニルだけにちょっともったいない。1.5μg/kg/minとはいわないが、せめて0.2μg/kg/minは使ってもらいたいと思っている。
レミフェンタニルの投与と効果部位濃度のイメージはこんな感じになる。
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例えばレミフェンタニル0.1μg/kg/minはこれまでもフェンタニルで充分カバーできていた。術後鎮痛など考えるとこの投与量で維持するのであればフェンタニルで充分だと思う。今後麻薬を高用量使用できることのメリットについて考えてみたい。
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by yamorimo | 2008-07-23 22:35 | 麻酔 | Trackback | Comments(3)

麻酔と夢④

麻酔と夢の話の続きだが、今回は主に術中覚醒について。

Awareness with recall during general anesthesia:a prospective observational evaluation of 4001 patients. Br J Anaesth 101(2):178-85

術中覚醒の頻度と関連する因子について検討した。
対象となった患者は4001名で、術中覚醒の頻度は1%だったが予定手術のみだと0.6%だった。
麻酔法別だと、TIVAが1.1%、吸入麻酔主体のバランス麻酔が0.59%、酸素-笑気による麻酔が5.0%、その他(プロポフォールによる短時間の麻酔)が0.9%であり吸入麻酔薬で有意に低かった。
術中覚醒は、患者の年齢(若い人)、ベンゾジアゼピンの前投薬をしていない、帝王切開、夜の手術と関連があった。
夢をみたとした患者は53%だった。麻酔法別だとTIVA53%、吸入麻酔54%、笑気麻酔31%、その他53%で笑気麻酔で有意に少なかった。夢の内容だと笑気麻酔で有意に楽しい夢(48%)が多く、吸入麻酔では内容を覚えていない(70%)が多かった。

私見
この研究は多くの人が思っている、TIVAは術中覚醒が多い。ベンゾジアゼピンを前投薬に使っておくと術中覚醒の頻度が減るという印象を証明したものとなった。ただし麻酔法の詳細は説明されていないのでTIVAが適切に行われたのかどうかは不明である。少なくともBISは使用されていないようだ。
ベンゾジアゼピンの前投薬は有用とされたが、最近の日本の状況では前投薬をしない傾向にあるし実際に患者確認の手順などで使いにくいハズだ。個人的には吸入麻酔薬使用の場合はミダゾラムで導入してみている。まったりと効いてくる分血圧低下も少ない印象があるので試してみていただきたい。
なお有意差はないものの楽しい夢はTIVAで多い(39%、吸入麻酔は28%)。これまでの紹介した報告でもあった、プロポフォールは楽しい夢と関連があるというのは今回もいえるようだ。

このブログの趣旨は論文の紹介ではなかったハズなのにと思いながら次回へ続く。
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by yamorimo | 2008-07-21 19:16 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)

抗凝固薬と麻酔管理②

術後の抗凝固療法について考えるときにまず読んでおくべきなのはこのEXPERT studyである(Anesth Analg. 2007 Dec;105(6):1540-7)。
下肢の整形外科手術患者を対象にして、アリクストラ投与と硬膜外あるいは末梢神経ブロックのカテーテル抜去について調べたstudyである。

18歳以上の下肢整形外科手術を対象とした。
アリクストラの投与は術後6-12時間後から1日1回投与(2.5mg)とした(日本の適応と違うことに注意)。投与期間は術後3-5週間とした。カテーテルを留置した患者はアリクストラの投与を1日スキップして、最後の投与の36時間後にカテーテルを抜去して、その12時間後に次のアリクストラを投与した。

結果
5704例の患者が対象となった。
24%がTHA、40%がTKAで6%が骨折だった。
硬膜外カテーテルが留置されたのは27%、深部の持続末梢神経カテーテルが留置されたのは1.4%、浅部の末梢神経カテーテルが留置されたのは7%だった。カテの抜去は術後1~2日後が43%、3~6日後が57%だった。
術後の静脈血栓症の頻度はカテ+患者で0.8%、カテ-患者で1.1%だった。カテの抜去時期で血栓症の頻度に差はなかった。致死的な肺塞栓症の頻度はカテ+患者で0.1%、カテ-患者で0.2%。術後出血の頻度はカテ+患者で0.5%、カテ-患者で0.9%だった。カテ留置による血腫などの合併症はなかった。

やや勝手な結語
この研究から硬膜外カテーテルを留置した患者にアリクストラを使用しても使用を1日スキップしてその日にカテーテルを抜去することで、安全にしかも有用性を損なうことなくカテーテルを使用することができた。

私見
このプロトコールで日本でも硬膜外鎮痛を行うことができると思うのだが、日本とは投与開始時期が違うのでいつ抜去するのかが問題となるかもしれない。
手術当日(day0)
翌日(day1):アリクストラ投与1回目
day2:アリクストラ投与2回目
day3:アリクストラ休薬、カテ抜去
day4:アリクストラ再開
だと3日間硬膜外が使用できる。あとはこのプロトコールでよいのか?日本でも多施設研究が必要かもしれない。

尚、このstudyの結果はあくまでもひとつの報告であり、1日スキップしたから絶対安全というものではない。実際にどうするかは個々の施設での判断してもらうことにはなるのだろう。
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by yamorimo | 2008-07-21 00:45 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)

Combinaiton opioid

レミフェンタニルの使い方の講演をしていて最も難しいポイントがフェンタニルの使い方をどうするかということになってしまう。Officialにはtransitional opioidとして覚醒前にフェンタニルを少量使いましょうということになるのだがこのさじ加減は難しい。当然手術の種類によるし患者個々での感受性も大きくことなっている。一律このようにという基準はなかなか示すことができないというか不可能というのが現状だ。
ではどうしたらよいのか、先日麻酔科学会でのKakinohana先生の講演を紹介したが、抜管前の呼吸数で評価するというのがひとつの方法になるだろう。例えばこれまでであれば筋弛緩薬なしでラリンジアルマスクで維持する症例では呼吸数を8-15回/分になるようにフェンタニルを投与するという方法があったがこれの応用と思えばよい。ただ覚醒時はよくても病棟帰室時にはということにならないためには持続静注を考慮したり、作用時間の長いモルヒネを使う必要がある。モルヒネのタイトレーションを短時間で行うのは結構難しいかもしれない。
もうひとつはある程度この手術でこの患者ならこの程度というレベルを維持しておいて覚醒時の状態でさらに調節する方法だ。
先日のアンケートでのtransisitonal opioidとしてのフェンタニルの使用量はこんな結果だった。
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ここで注目したいのが少ないながらもフェンタニルを300μg以上使っている人がいるという点。コメントでもレミフェンタニルとフェンタニルと併用しているという意見がみられた。この様な投与法は以前ちゃんぽん麻酔と表現したが少し格好良く、combination opioidと命名してみた。
イメージとしてはこんな感じになる。
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フェンタニルは無理のない2ng/ml程度を目標に術中は維持する。手術終了時に投与を中止するとゆっくりと濃度が低下するが例えば1ng/mlまで低下するにはCSHT分の時間がかかるので比較的長時間の症例であれば術後もフェンタニルの作用が長時間持続する。数時間後には経口のNSAIDsくらいで対応できる症例ではこれでよいし、もちろんiv-PCAへのつなぎも良好である。
フェンタニルの投与はTCIをイメージしたがもちろん少量の間欠投与でもよい。持続で使う場合は、TIVAtrainerのIVAssist機能を使うとよい。フェンタニルの残液は病棟へ返す点滴内へいれている。
レミフェンタニルはグラフでは固定しているが実際は必要に応じて調節するとよい。年金と同じで基礎部分をフェンタニルでそれで不足する部分を調節性のよいレミフェンタニルという考え方だ。この投与は先日紹介したBeComSIMを使ってフェンタニルとレミフェンタニルの両方をシミュレーションしながら使うと安全に行うことができる。
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by yamorimo | 2008-07-20 00:18 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)

知らなかった

今日書店に寄ったらパソコン本のエクスメディアが倒産したということで半額セールになっていた。ここのところよく買っていただけにビックリ。ついでに調べてみると昨年末にはもう倒産していた。
半額セールなら買ってもよいのかも。
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by yamorimo | 2008-07-19 21:53 | 書評 | Trackback | Comments(0)

カッタ君死す

私がカモメを撮っていた公園のアイドル、カッタ君が昨日亡くなったという。
20年も生きたと思っていたが人間ではまだ40歳程度とのこと。ペリカンの一生も長い。

昨日はバスジャック事件とカッタ君と周辺では慌ただしい1日だったようだ。

最後に残った当Ube市の自慢はセボフルランかもしれないね。
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by yamorimo | 2008-07-17 21:18 | その他 | Trackback | Comments(0)

麻酔と夢③

ついでに第3弾。
これまでの文献で全身麻酔中の夢はBISで評価される麻酔深度とは関係ないことが分かった。それでは別のモニターはということで、

Dreams recall and auditory evoked potentials during propofol anesthesia.
Neuroreport 18:823-825,2007


術中の中潜時聴覚誘発電位(MLAEP)と術後の夢の記憶をプロポフォール麻酔で検討した。
64名の患者を対象とした。麻酔はプロポフォールTCIとレミフェンタニルで行った。手術中はオーディオテープで物語を患者に聞かせた。MLAEPモニターは覚醒時、オーディオテープを聴かせる前後に行った。
夢を記憶していた患者は6名だった。術中の物語に関する記憶はなかった。夢の内容は通常の睡眠時と同様であった。夢を記憶していた患者ではMLAEPのPaの潜時が有意に短かった。
全身麻酔中のPaが残存していることは音刺激が一次皮質にまで到達していることを意味し、潜在記憶と関連がある。

私見
この結果をみるとMLAEPを使ったAAIなどのモニタを使えば②で紹介したような研究で差がでるのかもしれない。MLAEPについては拙著(麻酔 2006;55:314-21)参照のこと。
この文献だけではよく分からなかったので次回は同じ著者らによるMLAEPと術中覚醒の研究を紹介する。
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by yamorimo | 2008-07-13 21:46 | 麻酔 | Trackback | Comments(2)