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カテゴリ:麻酔( 609 )

セボフルラン:後発品との差はあるか?②

第一回で、セボフルランはルイス酸との反応で分解しHFを産生するリスクがあること。このため、ガラス瓶を避け、ルイス酸阻害薬として少量の水が添加されていること。これらの対策は後発品では行われていないことを解説した。

それでは、実際の臨床ではどうなのか?2000年台にペンロン社製の気化器を使用している施設で使用中に、後発品のセボフルランを使用すると気化器のガラス窓の腐食が起こった事例が報告された(Anaesthesia 2007;62:412)。

そこでセボフルランと気化器の組み合わせによる変化が検討された。

Sevoflurane formulation water content influences degradation by lewis acids in vaporizers. Anesth Analg 2009;108:1796


セボフルラン製剤として、
Ultane(アボット社(丸石製薬と同じ))(水352 ppm)
Baxterのセボフルラン(水 57 ppm)
Eraldin(水 19 ppm)
の3種類。

気化器として
Drager Vapor2000
GE Tec7
Penlon Sigma Delta
の3種類。

セボフルランを気化器内へ入れ、40℃の状態で保存。1,2,3週間後の変化を検討。
Penlon Sigma Deltaと水含有の少ないセボフルラン(Eraldin)、Baxterの組み合わせでは、経過とともにpHの低下、フッ化物濃度の上昇をみとめHFが産生したとことが考えられた。Ultaneでは変化はなかった。
GE Tec7、Dragerではいずれのセボフルランでも変化はなかった。

朽ちた気化器が動物の骨と一緒に砂漠?にうまっている表紙に見覚えのある方もいるだろう。

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現在日本で販売されている後発品の水含有量については不明であるが、水を添加することはアボット社の特許であることからいずれにしても少ないと考えられる。本研究は40℃という高温の環境下ではあるが、後発品のセボフルランの危険性を示す貴重な研究といえる。
Penlonの気化器を使用している施設では後発品への変更は要注意ということがいえるだろう。アコマなどこのほかの気化器については分からないのでこちらも要注意である。

ということで、後発品を使うのであればDragerかGEの気化器は必須である。
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by yamorimo | 2014-07-18 14:53 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)

セボフルラン:後発品との差はあるか?①

この春頃より各施設ではセボフルランを後発品に変える動きが急速にすすんでいる。後発品比率を高める必要上病院の立場からすると当然ともいえるのだが、先発品と後発品のセボフルランにはいろいろな差がある。このあたりを各施設で理解して変更されているのか?疑問もあるので改めてまとめてみたい。

セボフルランの分解は二酸化炭素吸収剤との反応が有名だが、臨床で問題になったのはガラス瓶内で分解してHFが産生されたという事例である。調査の結果、ルイス酸の存在下ではセボフルランのC-F、C-Oの結合が外れHFが産生されることが明らかとなった。ルイス酸としては運搬容器のバルブの錆が考えられた。貯蔵されている瓶内でHFが産生させると、容器自体を攻撃し他のルイス酸(酸化アルミニウム)が析出しさらにHFやガラス瓶の成分であるSiO2との反応でSiF4が産生される。HFとSiO4はともに有毒である。臨床で報告されたHFは低濃度であったがこの問題は避けなければならないとしていくつかの対策が考えられた。

そのひとつがルイス酸阻害薬の添加である。この目的としてH2Oがもっとも適当と考えられたため、現在丸石製薬あるいはアボットから供給されているセボフルランには約330ppmの水が添加されている。この水の添加はアボット社の特許になっている。

もうひとつの対策は容器の変更である。ある年齢以降の先生はセボフルランの容器が以前のガラス瓶からPEN容器に変わったことを覚えているだろう。これにより瓶内の酸化アルミニウムとの反応を防ぐことができる。以前Baxterから販売されていたセボネスはアルミ容器であったが、内部がコーティングされており安全に保存できるように配慮されていた。セボネス自体は水を積極的に添加されていない(特許のため)がガラス瓶を避けることで対策されていたという経緯があったのである。

現在の後発品のセボフルランはルイス酸の阻害薬が添加されていない上にガラス瓶に保存されている。製造工程、輸送時の何らかの金属の混入や、保存時のガラス瓶の損傷などで保存時にHFが産生されるリスクはあると考えてよいだろう。
実際に文献2)には、
Sevoflurane generic products that do not contain Lewis acid inhibitors or generic products that are contained in glass bottles have a high chance of Lewis acid degradation and the exposure of patients to the toxic HF. と記載されている。

参考
Sevoflurane:Are there difference in productus?Anesth Analg 2007;104:1447
Generic versus brand pharmaceuticals:doctor, know your drugs? Nederlands Tijdschrift voor Anesthesiologie 2006;19:69
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by yamorimo | 2014-07-10 17:10 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)

麻酔科学サマーセミナー③

サマーセミナー最終日は講義が3つ。

東海大学金田先生。デスフルランでもMEPモニタがとれるという発表。

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これはこれでよいのだが、TIVAと比べて振幅がどの程度とかの検討が必要だろう。という部分が質疑応答のポイントだった。

次は上山先生のデスフルランの脳波の検討。こちらはよいプレゼンだった。ポイントはタイトル通り。
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最後は、尾崎先生のボルベンの講演。近年発表されているICUでのデーターは手術中には適応できず、安全にボルベンを使用できるという内容だった。
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帰りはまた那覇空港。
F15の緊急発進をみることができた。
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by yamorimo | 2014-07-04 23:01 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)

麻酔科学サマーセミナー②

サマーセミナーの続き。

2日目朝は、アセリオと日本光電の新しい自動血圧計の話。

アセリオについてはまた機会を改めて。

自動血圧計は、カフ圧を下げながら測っている。日本光電の新型はこれをカフを上げながら測るという優れもの。測定時間が圧倒的に早いのが特徴である。会場ではこれで観血的動脈圧が必要な症例が少なくなるという声がきかれた。早期に試用してみたい。

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終了後は定番のちゅら海へ。人多すぎで早々に退散した。

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その後、那覇空港まで戻り飛行機の撮影。暑さのため30分ほどでこちらも退散。

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夜は恒例のバトルオンセミナー。サブスペシャリティーを競うという企画。登場したのは、心臓麻酔、ICU、ペインクリニック、小児麻酔。どれもいい勝負だった。

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by yamorimo | 2014-07-01 22:17 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)

麻酔科学サマーセミナー①

6/27から29まで沖縄で開かれた麻酔科学サマーセミナーへ参加した。

私の場合、沖縄へは福岡空港経由になる。ドルフィン柄のB737で沖縄へ。

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福岡は晴れ。途中九州南部の梅雨前線を超えるとそこは南国の海。

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那覇空港ではちょうど天皇陛下の帰京と重なり大混乱。こちらのANAでお帰りになったようです。
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会場は那覇空港から車で60分ほど。名護市のブセナテラス内の万国津梁館だった。
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私はトップバッターとして、ドレーゲルの新しい麻酔器ペルセウスA500の紹介。未来を予言する機能のついた麻酔である。詳細はまた。
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相手は讃岐先生。こちらはGEのET-Controlのライバルになりそうなフクダ電子のFlow-iの紹介。新しくAutomatic Gas Control(AGC)が付く予定という発表。

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その次は、分離肺換気のセッション。札幌の中山先生は麻酔症例のほとんどが分離肺換気というまさにスペシャリスト。続いて、萩平先生が長年の経験に基づく非常に教育的な話で1日目を終了した。

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あしたに続く
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by yamorimo | 2014-06-29 23:04 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)

MAA9

The 9th International Symposium on Memory and Awareness in Anesthesia(MAA9)の一般演題締め切りが延長されています。

術中覚醒などについての世界的なシンポジウムで海外の専門家が集まります。また、術中覚醒の経験などは一般演題でぜひご発表ください。詳細はこちら
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by yamorimo | 2014-06-04 23:52 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)

麻酔科医のための知っておきたいワザ22③

麻酔科医のための知っておきたいワザ22ですが克誠堂のホームーページにも掲載されました。
前書きと目次が参照できます。ぜひご確認ください。
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by yamorimo | 2014-06-01 23:55 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)

周術期の輸液管理

今回は、私は何ら関係していないが「周術期の輸液管理」を紹介する。これはLiSAコレクションということで昨年私が編集した「超音波ガイド下末梢神経ブロック実践24症例」のシリーズということになるのだろうか(もしお持ちでなければ一緒にどうぞ)。総説の後に症例が続くスタイルは同一である。もちろんこれはLiSA本誌とも同一ということで本体では連載になりそうな企画を本にしたということかもしれない。

コンセプトは全体に統一されている。近年のgoal-directed fluid therapyの流れ、フロートラックに代表されるモニタの進歩、そして膠質液としてボルベンが使えるようになったとこと。この流れで新しい輸液管理の概念と症例による各論が展開されている。私などは、SVV本当に役に立つの?とちょっと思ってしまうのだが、近年の論文を中心にまとめるとこんな感じになるのだろう。その意味では本書は最新の輸液管理について学び、実践するのにこれ以上ない本だということができる。信じている人も信じていない人も一読をお勧めしたい。

次々と日本の麻酔科界に旋風を巻き起こすLiSAコレクション。次の企画も期待したい。
これでネタ切れなので書評は終了です。
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by yamorimo | 2014-05-23 22:03 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)

麻酔科医のための知っておきたいワザ22

何度も登場ですが「麻酔科医のための知っておきたいワザ22」がいくつかのオンライン書店で発売中です。

本にはいろいろありますがいつもは突然依頼が届いて、資料を集めてなんとか文章を作るという感じのことが多いです。著者の人選も?なケースがままあります。

この本は、現在の日本の麻酔科界からこのネタならこの人というベストな人選がなされているのが特徴です。自分の得意分野について本当に書きたいことをのびのびと書いていただいたらこんなに厚くて熱い本になりました。ぜひご一読をお願いします。

Amazonはこちら

ローソンだとこちら

紀伊國屋はこちら

よろしくお願いします。
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by yamorimo | 2014-05-18 10:34 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)

日本麻酔科学会②

日本麻酔科学会のレポート。機会展示など。

まずはBaxterブース。デスフルランの瓶がガラスからアルミに変わる。当然アルミの表面はコーティングされている。以前のセボネスの感じ。これなら割れる心配はなさそうである。アルミ製の携帯用箸もいただいた。
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なお、デスフルランに関しては昨日紹介した「吸入麻酔」に薬物動態を、「麻酔科医のための知っておきたいワザ22」には木山先生に低流量麻酔について解説いただいているのでご参照いただきたい。セボフルランの後発品化が進む中、安心して使えるのはデスフルランという状況になってきた。

次、Dragerブースでは新発売のペルセウスA500。なんとみなとみらい駅から宣伝が始まっている期待の新製品である。
基本操作パネルはほぼ同社のEvitaと同じ。
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操作性は非常によかった。

最大の注目点は未来の予測機能。例えば麻酔導入時に高流量にしていた後、低流量とする際に変更点を確定するまでの間に、その変更で麻酔薬濃度と酸素濃度がどのように変化するかを予測する機能が付いている。GEのET-controlはこれを設定した範囲で自動的に行うが、Dragerの場合は麻酔器がコントロールではなくあくまで助言に留めている点が異なる。吸入麻酔のエキスパート養成用の麻酔器として有用ではないだろうか。同社のSmartPilotと組み合わせることで過去、現在、さらに未来を予測しながら安全な麻酔が可能になる究極の電脳麻酔器として位置づけられるだろう。この麻酔器については来月のサマーセミナーで私が紹介する予定なのでご興味あれば参加していただきたい。

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次に超音波系。GEの新型は先月も紹介したがさらに高周波数のリニアプローブが登場した。
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これを使うと橈骨動脈が非常に大きく描出され、長軸でも短軸でもカニュレーションは容易になりそうだ。末梢での血管穿刺や小児・新生児の中心静脈穿刺に非常に有用な武器になりそうである。

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毎回恒例のソノサイトブースでのハンズオン。今年は下肢のブロックを担当。X-PORTEにも慣れてきた。

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今回は、富士フィルムの装置との合同展示。こちらは富士の新型でプローブはX-PORTEと共通。今後は統合が進んでいくのだろう。
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二日目は、ユニシスとVYGONの協同でのハンズオンを担当。学会のものよりも少人数で充実していたのではないだろうか。若手3名の御協力でほとんど仕事せずにすみました。

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VYGONさんは神経ブロック針と刺激装置の他、気道系のグッズやディスポの駆血帯などを紹介。中央のスマホアプリは、iPhoneとアンドロイド対応。VYGONで検索できる。簡単な神経ブロックの紹介アプリになっている。
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by yamorimo | 2014-05-18 10:02 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)