スガマデックスの論文2つ

そろそろスガマデックスの発売が近いようなので論文を2つ紹介する。

Khuen-Brady KS et al. Sugammadex provides faster reversal of vecronium-induced neuromuscular blockade compared with neostigmine:a multicenter, randomized, controlled trial. Anesth Analg 2010;110:64-73

予定手術患者でベクロニウム使用後の回復をスガマデックスとネオスチグミンで比較する。

方法
予定手術患者、18歳以上、ASA1-3の予定手術患者を対象。
麻酔はセボフラン+オピオイド
ベクロニウムを初回0.1mg/kg、その後はTOFでT2の出現するタイミングで0.02-0.03mgを追加投与。
手術終了後、T2の出現したタイミングで、
スガマデックス2mg/kgか
ネオスチグミン0.05mgkgを投与してその後の回復を検討。

結果
スガマデックス群は平均2.7分でTOF90%まで回復。
ネオスチグミン群はTOF90%まで17.9分かかった。

TOF0.8だと、スガマデックス群で1.9分に対し、ネオスチグミン群10.8分。
TOF0.7だと、スガマデックス群1.6分に対して、ネオスチグミン群4.2分。
だった。

私見
スガマデックスの使用量は2mg/kgということは覚えておこう。その上で、筋弛緩の完全な回復までの時間が短いということだろう。
手術室での筋弛緩の拮抗にすべてスガマデックスを使う必要があるかどうかは疑問だが、高齢者や呼吸機能に問題のある患者、また長時間の手術で投与量が多くなったときにはよい適応だろうと思う。これを使うと筋弛緩モニターがいらなくなるのだろうか?
個人的には筋弛緩薬の使用はミニマムにしていいるので実際はネオスチグミンですら使用しないケースが多い。まあ、ケースバイケースということで手段が多くなるのはよいことだ。

もう一つ。
Duvaldestin P, et al. A randomized dose-response study of sugammadex given for the reversal of deep recuronium or vecuronium-induced neuromuscular blockade under sevoflurane anesthesia. Anesth Analg 2010;110:74

スガマデックスの使い方として、筋弛緩薬投与直後の深い筋弛緩状態での拮抗がある。問題なく挿管できると思って麻酔を導入したけれど、挿管困難だった場合すぐに拮抗できると対応の選択肢が増えるし、最悪覚醒させることもできる。またこの使い方ができればサクシニルコリンの必要性はほとんどなくなる。
今回の研究はそれよりは筋弛緩薬が効いていない、PTCが1から2程度の筋弛緩状態からの拮抗を検討している。

方法
これはphase IIのstudyになります。
年齢20-65歳、ASA1-3の予定手術患者を対象とした。
ベクロニウムあるいはロクロニウムを投与し、PCTが1-2の状態でスガマデックスによる拮抗効果を投与量を変えて検討。こちらもTOFが0.9になるまでの時間。
ロクロニウムの場合、2mg/kgのスガマデックスを使用するとTOF0.9に回復するための時間は平均3.2分だった。4mg/kgでは1.7分。
ベクロニウムではやや遅く、2mg/kgでは9.1分、4mg/kgでは3.3分だった。

私見
以前であれば手術終了直前に筋弛緩薬投与するのは迷うこともあったが、この研究から考えるとどんどん入れてもすぐに拮抗できることが明らかである。筋弛緩薬としてはやはりロクロニウムの方がよいのだろう。
[PR]
by yamorimo | 2010-01-23 19:44 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://eanesth.exblog.jp/tb/9742633
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
<< 超音波ガイド下鎖骨下静脈穿刺 AnestAssit ver1.3 >>