Sevoflurane-Lewis Acid Stability

セボフルランが容器の中で分解してしまう可能性については以前紹介したことがある。またLiSAの特集でも取り上げられている。現在日本で売られているセボフルランに関しては水の含有量を増やしている(water rich sevoflurane)ことと容器をガラスからPENに変えたことで安定性を増している。ただ気化器の中はどうかという研究が行われている。実際にAnesthesia and Analgesiaの6月号の表紙がガラスと金属部分の朽ちたセボフルランの気化器の絵という衝撃的なものになっている。

実際の論文は、
Sevoflurane formulation water content influences degradation by lewis acids in vaporizers.
Kharash ED, et al. Anesthesia and Analgesia 2009;108:1796


セボフルランはいくつかの会社から販売されている(海外の場合)。これらのセボフルランは製造法の違いと水の含有量が異なっている。1990年代、ルイス酸によりセボフルランが容器中で分解されフッ化水素を発生させるという報告がなされた。水はセボフルランの分解を抑制する。水含有量の違う3種類のセボフルランの気化器内での安定性について調べた。

水分含有量の少ないセボフルランとして、Eraldin(アルゼンチン製, 19 ppm)、バクスター製のセボフルラン(57 ppm)、水分を含むセボフルランとしてUltane(アボット製、日本で使用されているもの、357 ppm)。気化器はドレ-ゲル製、デーテックスオメダ製とペンロン製の3種類を選びそれぞれのセボフルランを40℃の条件で保存してその後3週間の間の変化を調べた。

結果
水分含有量の少ないセボフルランをペンロン製の気化器に保存した場合、時間と共にフッ化水素の濃度が上昇した。3週間後にはのぞき窓部分と金属製の栓の部分の変化がみられた。水分含有のセボフルランでは濃度上昇はみられなかった。ドレ-ゲルやデーテックスオメダ製の気化器ではどのセボフルランでも変化はなかった。

今回の研究は40℃で3週間というシビアなコンディションではあるのですが、後発品のセボフルランとペンロン製の気化器の組み合わせでは気化器内でセボフルランの分解が起こる可能性を指摘しています。何故ペンロン製が悪いのかは分からないと考察されています。内部での金属成分とセボフルランの接触の状況によるのでしょう。
これから麻酔器を更新する場合はペンロンのセボフルラン気化器は避けた方が良さそうということと、将来的にバクスター製のセボフルランが再発売されるようなことがあってもペンロン製の気化器を使用している施設では採用しない方がよいということはいえるでしょう。

ちなみに自分の施設ではこの研究で使われているドレ-ゲル2000に変えました。まず容量が大きくて朝満タンにしておけば途中で追加する必要がないのが利点です。昔のアコマの気化器で100ml程度しか入らなかったことを思えば隔世の感があります。
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by yamorimo | 2009-07-20 23:15 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)
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