Anesthetic-induced improvement of the inflammatory response to one-lung ventilation

LiSA5月号は、セボフルラン特集だった。セボフルランに関していろいろの視点から解説されているので面白かったのではないだろうか?個人的には特に樋口先生のセボフルランの毒性云々の話が面白かった。それとは関係ないハズだがAnesthesiologyの6月号にはセボフルラン関係の論文が2つ掲載されているので順に紹介したい。
まずは、Anesthetic-induced improvement of the inflammatory response to one-lung ventilationから。

一側肺換気(OLV)の際の麻酔薬には何を用いているだろうか?例えば、LiSA5月号の439ページには、OLVの時の酸素化がよいというのがセボフルランではなくプロポフォールを選択する理由として挙げられている。これは多く人がそう考えているのではないだろうか?
今回のAnesthesiologyの論文は、OLVの際の麻酔薬として免疫反応の面からプロポフォールではなくセボフルランを勧める結果が得られている。前回の癌の転移ということを考えると、、また悩む点ではある。

著者らは、プロポフォールあるいはセボフルランでOLVで行う肺手術の麻酔を行い、非換気側の肺から得られたBALF中のインターロイキンを測定した。尚、両群ともフェンタニルの間欠投与、硬膜外への0.33%ロピバカイン投与(5-8ml/h)とレミフェンタニルも0.1-0.3μg/kg/minを併用している。
OLV中のサイトカインなど炎症メディエーターの上昇はセボフルラン群で少なかった。術後の合併症(抗生剤投与の延長、肺炎、無気肺など)はセボフルラン群で少なかった。

この結果は非常にクリアーである。手術中の酸素化などのデーターは示されていない。気になるのはOLVの時間がセボフルラン群で有意に短いことでこれは結果に影響しているだろう。術後の合併症の頻度はかなり差があるので、セボとプロポフォールが混在している施設であれば、レトロスペクティブに術後のCRP,WBCや抗生剤投与期間、その他の合併症について検討してみたらどうだろうか。臨麻にはまだ間に合いそう。

それにしても、OLVの麻酔薬としては
術中の酸素化だけなら、わずかにプロポフォールか?
術後早期の合併症ならセボフルランが有利かも?
長期的な予後はプロポフォールと硬膜外か傍脊柱管ブロックの組み合わせ?

さて次の肺手術の麻酔はどうしよう(このノリは昔のLiSA風ですが)?
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by yamorimo | 2009-05-26 00:10 | 麻酔 | Trackback | Comments(2)
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Commented by SH at 2009-05-28 12:18 x
OLVの時の酸素化ですが,現実にはpropofolとvolatileに大きな差はありません.呼吸機能のよい患者さんの場合ほどHPVの抑制に差が出ますが,元のPao2が高いために管理上問題はありません.反対に呼吸機能が悪く酸素化も厳しいかと思われるような患者さんの場合には,元々のHPVそのものが制限されている(血流シフトが少ない)ためHPV抑制による酸素化の悪化も少なくなり,結果として術中の維持に困ることは少ないというのが現実です. つまりPaO2の維持という観点からすればどちらを使用してもcriticalな差はないのです.
前任の病院ではほとんどのOLVをIsofluraneでやってましたが,CPAPなどの補助手段が必要になったのは数えるほどしかありませんでした.Benumofの教科書でもvolatileが不利とは言えないと書かれていますが,その通りだと思います.
Commented by yamorimo at 2009-05-28 22:19
SH先生
ご意見有り難うございます。
私も個人的にはどちらでも差はないと考えています。いろいろ研究はありますが、有意差はあっても臨床上はほとんど差がないというレベルですね。
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