麻酔と夢④

麻酔と夢の話の続きだが、今回は主に術中覚醒について。

Awareness with recall during general anesthesia:a prospective observational evaluation of 4001 patients. Br J Anaesth 101(2):178-85

術中覚醒の頻度と関連する因子について検討した。
対象となった患者は4001名で、術中覚醒の頻度は1%だったが予定手術のみだと0.6%だった。
麻酔法別だと、TIVAが1.1%、吸入麻酔主体のバランス麻酔が0.59%、酸素-笑気による麻酔が5.0%、その他(プロポフォールによる短時間の麻酔)が0.9%であり吸入麻酔薬で有意に低かった。
術中覚醒は、患者の年齢(若い人)、ベンゾジアゼピンの前投薬をしていない、帝王切開、夜の手術と関連があった。
夢をみたとした患者は53%だった。麻酔法別だとTIVA53%、吸入麻酔54%、笑気麻酔31%、その他53%で笑気麻酔で有意に少なかった。夢の内容だと笑気麻酔で有意に楽しい夢(48%)が多く、吸入麻酔では内容を覚えていない(70%)が多かった。

私見
この研究は多くの人が思っている、TIVAは術中覚醒が多い。ベンゾジアゼピンを前投薬に使っておくと術中覚醒の頻度が減るという印象を証明したものとなった。ただし麻酔法の詳細は説明されていないのでTIVAが適切に行われたのかどうかは不明である。少なくともBISは使用されていないようだ。
ベンゾジアゼピンの前投薬は有用とされたが、最近の日本の状況では前投薬をしない傾向にあるし実際に患者確認の手順などで使いにくいハズだ。個人的には吸入麻酔薬使用の場合はミダゾラムで導入してみている。まったりと効いてくる分血圧低下も少ない印象があるので試してみていただきたい。
なお有意差はないものの楽しい夢はTIVAで多い(39%、吸入麻酔は28%)。これまでの紹介した報告でもあった、プロポフォールは楽しい夢と関連があるというのは今回もいえるようだ。

このブログの趣旨は論文の紹介ではなかったハズなのにと思いながら次回へ続く。
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by yamorimo | 2008-07-21 19:16 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)
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