「ほっ」と。キャンペーン

超音波ガイド下末梢神経ブロック入門(1)

この企画、もう少し後で始めるつもりだったのだがTubokawa先生のactivityに押される形でそろそろと始めてみる。具体的な手技などはテキストを参照してもらうということでお願いしたい。

初回は、何故今末梢神経ブロックなのかというところから。
理由はいろいろあるだろう、超音波装置の進歩により神経がある程度同定できるようになったこと、小型で手術室で使いやすい機器の登場などハード面での進歩。安全で長時間作用性局所麻酔薬のロピバカインの登場。そして麻酔科医サイドでも全身麻酔の要素の中でも鎮痛が重要という意識が高まってきたという面も重要である。最近流行っている神経ブロックは、ペインクリニックの治療手段ではなく、あくまでも麻酔中の鎮痛手段としての利用という面が大きい。

実際にどんな感じなのかというと、
今日も、鎖骨遠位端骨折の麻酔を全身麻酔と腕神経叢ブロック併用で行った。ブロック時は通常筋弛緩薬を用いずに(神経刺激を併用するため)、ラリンジアルマスクで行うのだが、本日は鎖骨ということで筋弛緩薬を使用して気管挿管した。挿管後、超音波ガイドのみで斜角筋間法で神経ブロック、1%メピバカインと0.5%ブピバカインの混合液を15ml使用した。
麻酔はセボフルラン1.5%で維持し、手術開始前にペンタゾシン15mgを静注(ブロック後10分で効果が期待できないため)、手術中は安定した循環動態が得られた。手術は約1時間で終了、セボフランを中止すると速やかに開眼、抜管した。創部の痛みはなく、患肢の離握手が可能なのを確認して退室させた。患者に歩いて帰りましょうか?と声を掛けたら本当に帰れりそうなほど覚醒は良好であった。
当初は、ある程度の術後鎮痛効果を期待して始めた腕神経叢ブロックだが、実際にやってみると手術中の循環の安定と覚醒の早さ、さらに痛みがなく覚醒するため覚醒の質も非常によいというのが印象である。これまで苦労してきた鎮痛指向型バランス麻酔の理想的な形がここにある。整形外科サイドも、ブロックにかかる5分程度は覚醒の早さと、術後の患者の状態(良好な覚醒と無痛)をみて納得してもらっている。もちろんフェンタニルを上手く使えば同様の麻酔は可能かもしれないが、さらに容易にしかも鎮痛が良好というのがこの麻酔法の特徴だ。もちろん全身麻酔下に施行するので鎮痛効果が不十分(抜けている)な部位も有り得る。フェンタニルは直ぐに使えるように準備は必要である。
やってみるとやみつきになる。それが超音波ガイド下末梢神経ブロックの魅力だ。

人気blogランキングへ
[PR]
by yamorimo | 2006-12-05 22:25 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://eanesth.exblog.jp/tb/4800181
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
<< 竹内まりやのスロー・ラブ 脳深部刺激療法の麻酔 >>