オレキシン受容体拮抗薬

オレキシンは覚醒を制御する情報伝達物質である。視床下部外側野の神経細胞に特異的に発現する。視床下部外側野からは覚醒に関わるモノアミン作動性システムやコリン作動性システムに密接な投射が認められる。オレキシンはこれらの覚醒システムを活性化させることで覚醒を維持・安定化させていると考えられている。オレキシンは柳沢、櫻井先生らにより発見された。私は、オレキシンの欠乏によると考えられているナルコレプシーの患者を麻酔したことがきっかけで興味を持っていたのだが、今回オレキシン受容体を拮抗する新しいタイプの睡眠導入剤が発売されたので講演会に行ってみた。

SASと睡眠障害について
土屋神経内科:土屋先生
日本人は顔の形状的にSASが多い。日本人=SASと考えてもよいくらい。
SASの患者に睡眠薬を投与する場合注意が必要。
使用可能なのは、
マイスリー、アモバン、ルネスタ、ロゼレムと今回発売されたベルソムラである。
ベンゾジアゼピンは筋弛緩作用がありSASの患者では上気道が閉塞しやすい。

メラトニンアゴニストのロゼレムは効かないという印象があるが、初診の人に処方するとよい。筋弛緩作用がなく、SASとは無関係である。

不眠症治療における新たな選択
愛媛大学岡先生

睡眠の経過
一晩でNonREM睡眠とREM睡眠が対をなして約90分の間隔で4-5サイクル繰り返される。REM睡眠は睡眠の後半に多くなる。

睡眠促進系:GABA
覚醒系:オレキシン神経、モノアミン神経

睡眠物質の蓄積(恒常性維持機構)
覚醒で睡眠物質が蓄積し、入眠で低下する
睡眠負債の返済:平日短時間睡眠で休日に長く寝る
寝だめはできない

サーカディアンリズム
体内時計:視交叉上核
深部体温は昼間高く、夜低くなる
メラトニンは夜間高い→夜か昼かを決めるホルモン(夜行性動物でも夜間高い)

Morning sunlight→視交叉上核を刺激→覚醒
夜間の光→メラトニンを抑制(夜は暗めに)

アルツハイマー
メラトニン分泌量↓
ピークがばらつく→昼夜逆転

不眠の原因
一過性の不眠→誤った考え方の形性→不眠不安→安全行動→認知身体的覚醒→慢性的な不眠

オレキシン
外側視床下部

ナルコレプシー(NC)
日中の眠気
REM睡眠関連症状
カタプレキシー(情動脱力発作)
入眠時幻覚:入眠時にいきなりREM睡眠
睡眠麻痺(金縛り):REM睡眠の状態から覚醒

頻度:600人に一人

カタプレキシーを伴うNC
約9割の症状でオレキシン↓↓
オレキシンを産生できない(自己免疫)

オレキシン低下→コリン系↑(REM睡眠)、モノアミン系↓

2次性過睡眠
視床下部の梗塞などによるオレキシン産生低下

睡眠障害の治療
非薬物療法
睡眠衛生
認知行動療法(保険適応なし)
精神療法

薬物
日本では不眠時にアルコールに頼る傾向

BZP系睡眠薬
非BZP系睡眠薬(化学構造的にベンゾジアゼピン骨格を持たない)(ω1受容体選択的、筋弛緩作用なし、抗不安作用なし)

ラメルテオン(ロゼレム)
メラトニン→松果体→視交叉上核(体内時計の中枢)
切れ味劣る

スプレキサント(オレキシン受容体拮抗薬)
覚醒システムを抑制
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by yamorimo | 2015-01-20 11:44 | その他
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