セボフルラン:後発品との差はあるか?①

この春頃より各施設ではセボフルランを後発品に変える動きが急速にすすんでいる。後発品比率を高める必要上病院の立場からすると当然ともいえるのだが、先発品と後発品のセボフルランにはいろいろな差がある。このあたりを各施設で理解して変更されているのか?疑問もあるので改めてまとめてみたい。

セボフルランの分解は二酸化炭素吸収剤との反応が有名だが、臨床で問題になったのはガラス瓶内で分解してHFが産生されたという事例である。調査の結果、ルイス酸の存在下ではセボフルランのC-F、C-Oの結合が外れHFが産生されることが明らかとなった。ルイス酸としては運搬容器のバルブの錆が考えられた。貯蔵されている瓶内でHFが産生させると、容器自体を攻撃し他のルイス酸(酸化アルミニウム)が析出しさらにHFやガラス瓶の成分であるSiO2との反応でSiF4が産生される。HFとSiO4はともに有毒である。臨床で報告されたHFは低濃度であったがこの問題は避けなければならないとしていくつかの対策が考えられた。

そのひとつがルイス酸阻害薬の添加である。この目的としてH2Oがもっとも適当と考えられたため、現在丸石製薬あるいはアボットから供給されているセボフルランには約330ppmの水が添加されている。この水の添加はアボット社の特許になっている。

もうひとつの対策は容器の変更である。ある年齢以降の先生はセボフルランの容器が以前のガラス瓶からPEN容器に変わったことを覚えているだろう。これにより瓶内の酸化アルミニウムとの反応を防ぐことができる。以前Baxterから販売されていたセボネスはアルミ容器であったが、内部がコーティングされており安全に保存できるように配慮されていた。セボネス自体は水を積極的に添加されていない(特許のため)がガラス瓶を避けることで対策されていたという経緯があったのである。

現在の後発品のセボフルランはルイス酸の阻害薬が添加されていない上にガラス瓶に保存されている。製造工程、輸送時の何らかの金属の混入や、保存時のガラス瓶の損傷などで保存時にHFが産生されるリスクはあると考えてよいだろう。
実際に文献2)には、
Sevoflurane generic products that do not contain Lewis acid inhibitors or generic products that are contained in glass bottles have a high chance of Lewis acid degradation and the exposure of patients to the toxic HF. と記載されている。

参考
Sevoflurane:Are there difference in productus?Anesth Analg 2007;104:1447
Generic versus brand pharmaceuticals:doctor, know your drugs? Nederlands Tijdschrift voor Anesthesiologie 2006;19:69
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by yamorimo | 2014-07-10 17:10 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)
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