デスフルラン vs セボフルラン①

デスフルランの詳細へ移る前にもう一度、デスフルランとセボフルランの比較をしておこう。私が臨床でデスフルランがよいかなと思うのは長時間の麻酔のみである。よくいわれている肥満患者についてはデスフルランが有利というのは間違っている。その辺りを復習してみよう。

この図はセボフルランは5%で5分間、その後新鮮ガス流量4L/分で2%を吸入させたときのシミュレーション。ALV:肺胞、VRG:血管豊富群、MUS:筋肉、FAT:脂肪組織である。デスフルランはセボフルランに合わせて20%で5分間(実際に使うことはないが)、その後4L/分のガス流量で7%を吸入させた時のシミュレーション。

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麻酔導入後は、麻酔薬の体内への取り込みは筋肉(MUS)が主となる。ここで筋肉/ガス分配係数は、デスフルランが0.78、セボフランが1.7であり、セボフランはデスフルランと比べて筋肉組織に約2倍取りこむことができる。このためセボルランでは筋肉組織での濃度上昇がより緩徐である。筋肉組織が50%の平衡に達する時間はデスフルランが27分、セボフルランが40分である。セボフルランは覚醒時に筋肉組織に蓄積した麻酔薬の影響を受ける。このため麻酔時間が長くなると蓄積量が多くなり、覚醒が遅れる。デスフルランでは筋肉組織への蓄積量が少なくより覚醒が早く、麻酔時間の影響を受けない。

脂肪はどうか?詳細はこちらを参照してもらいたい。

デスフルランとセボフルランでは脂肪への取り込みは大きいが平衡に達するのはどちらも24時間程度かかる。非常にゆっくり脂肪組織に取り込まれ、覚醒時もゆっくり体に戻ってくる。このため脂肪が麻酔からの覚醒に影響することはまず考えにくいのである。もし肥満患者で覚醒が遅いとすると、それは筋肉量が増えている人の場合であろう。同様に、体の筋肉量が減少し、脂肪組織が増えている高齢者では吸入麻酔薬からの覚醒は早いことが多い。

もうひとつこの図から分かることはデスフルランでは吸入と呼気濃度の差がすくないという点である。これは組織と血液が早く平衡に達することと体内での代謝が少ないという点にある。この特性は低流量麻酔での有利である。
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by yamorimo | 2014-02-23 22:14 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)
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