TKAに対する坐骨神経ブロック

TKAの術後鎮痛に対する末梢神経ブロックとしては大腿神経ブロックがメインになります。しかし大腿神経ブロック単独では膝裏の痛みを訴えるケースが多く坐骨神経ブロックの併用が必要になります。坐骨神経ブロックのアプローチにはいろいろありますが完全に坐骨神経をブロックしてしまうと手術による神経障害を評価できないということで整形外科サイドとの調整が必要な施設もある訳です。

以前から、TKAに対する坐骨神経ブロックは脛骨神経ブロックだけでよいということを大阪大学のSakai先生が発表されていましたが、きちんとした論文が海外から出ました。

Femoral Nerve Block With Selective Tibial Nerve Block Provides Effective Analgesia Without Foot Drop After Total Knee Arthroplasty.
Anesth Analg 2012;115:202


坐骨神経ブロック膝窩アプローチは通常膝下部で脛骨神経と総腓骨神経に分かれている坐骨神経を中枢に追っていき、両者が1本になった部分でブロックします。この研究では通常の坐骨神経ブロック膝窩アプローチと、それよりも末梢で脛骨神経のみブロックする方法を、大腿神経ブロックと組み合わせてTKAの術後鎮痛の状況について検討しています。

選択的に脛骨神経ブロックを行うことにより、術後の腓骨神経領域の運動機能(背屈)は温存された。脛骨神経領域の足底屈の障害は両者で同様であった。術後痛の状況は両者で差がなかった。

選択的脛骨神経ブロックの動画はLiSAの8月号に本家Sakai先生分が掲載されます。一応自分でおこなった症例をアップしておきます。



部位は膝窩部から約5cmで脛骨神経と総腓骨神経がならんでいるくらいの位置です。左の脛骨神経に向けて針をすすめ左側(内側)中心に局所麻酔薬を投与しています。使用量も10mlと通常の半量に留めています。
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by yamorimo | 2012-07-13 23:25 | その他 | Trackback | Comments(1)
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Commented by 名無し整形外科医 at 2012-07-15 10:09 x
すごい朗報です。先日のペインクリニック学会で大腿神経内側広筋枝を選択的にブロックする報告がありましたが、これらを組み合わせるとTKAに対する末梢神経ブロックのデメリットがかなり減少しますね。今度試してみたいと思います。
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