術中のBIS値と癌

先週のアボットの講演では高用量のレミフェンタニルを併用した際はセボフルラン麻酔中のBIS値が40以下になる場合があるが、そのまま充分なセボフルラン濃度を維持した方がいいという話をした。同種の話を昨年TIVAでした際に質問されたのが術中のBIS値が低値だと術後の癌の再発が多くなるのではないかというものだった。

そんな疑問に答える?最新の論文が発表されている。

Malignant disease within 5 years after surgery in relation to duration of sevoflurane anesthesia and time with bispectral indes under 45. Anesth Analg 2011;113:778

背景
手術中のセボフルランの過鎮静(低BIS値)により免疫が抑制され非癌患者で術後の癌の発生が増えるかについて検討した。

対象と方法
非癌手術患者2792名を対象とした。年齢は16歳以上、筋弛緩投与を含むセボフルラン麻酔患者、術中のBIS使用患者を対象。
術後5年以内に癌の有無を確認。ただし手術の30日以内の癌の診断例は除外。

結果
最終的に対象となったのは2972名。129名が悪性疾患の診断を受けた。
悪性疾患と診断された患者と手術中の麻酔時間、BIS値が45以下の時間とは相関がなかった。

多少エンドポイントは違うが手術中のBIS値と術後の死亡についてはその前の号に簡単な総説がある。

この中の図に手術中の低BIS値と予後についての図があって参考になる。
a0048974_23354766.jpg



術中の低BIS値にはいろいろな原因がある。例えば低BIS値と術後のstrokeの関連が報告されているが、術前から無症状の脳血管障害があった場合、術中のBIS値は低値となる可能性がある。この場合、このような患者が術後strokeになる確率が高いと考えられる。

最終的な結語は、"Our advice is to avoid hypoxia and hypotension …and unnecessarily deep anesthesia.”と妥当なものだ。


癌についてはセボフルランと免疫抑制と癌の発生の関係についてもう少し基礎的な研究が必要ではないだろうか。今回の研究については亜酸化窒素の使用を容認している点、癌の発生が低い低年齢層も含まれているのが問題と考える。
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by yamorimo | 2011-09-26 23:41 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)
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