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術中覚醒シンポの個人的なまとめ①

今回、初日の術中覚醒に関するシンポジウムに参加させて頂いた。初日の朝ということで参加されていない方も多いだろうということで個人的なまとめをしてみたい。

今回の演者は、
私:疫学
Yamakage先生:原因
Kiyama先生:モニタ
Tsubokawa先生:総括

という感じで進んでいった。当然ながら、疫学とはいってもそこには原因がありモニタがある。逆もまたしかりということで最初の3人の内容はそれなりにかぶりながら、最後に総括となった。何度もこの手のシンポジウムに参加されている先生には物足りない部分もあったかもしれないが、若手の先生方には問題点などが浮き彫りになったのではないだろうか。

私の部分の要約だが、

術中覚醒(記憶)とは、手術中の意識(知覚など)の明らかな(顕在性の)記憶である。
術中覚醒の頻度はおおよそ0.1-0.2%程度である。
術中覚醒の診断はしばしば困難であり、少なくとも術後3回のインタビューが必要である。術後30日くらいして術中の記憶が出てくることもある。
記憶の内容としては、音が最も多く、その他恐怖、手術の詳細、不動など、痛みは40%程度で比較的少ない。
術中覚醒の多い手術としては、心臓、帝王切開、外傷などがある。小児は診断が困難であるが成人の数倍の頻度であることが分かってきた。
その他、患者の要因(薬物、術中覚醒の既往)や低心機能、低肺機能などでリスクが高い。

我々の行ったアンケート調査では、日本での術中覚醒のリスクファクターとして、TIVA、女性、頭頸部手術などが明らかとなった。

また、冒頭に5年前の手術で術中覚醒を経験し、現在も手術を受けることに恐怖感を持っている方の事例を紹介し、改めて術中覚醒に注意が必要であることを訴えた。
なお、抄録には新たな術中覚醒に関するアンケート調査を行うことについて記載していたが、今回の震災により中止したことを説明した。
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by yamorimo | 2011-05-26 00:09 | 麻酔 | Trackback | Comments(4)
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Commented by SH at 2011-05-26 07:33 x
yamorimo先生,お疲れさまでした.
術中覚醒の多い「心臓、帝王切開、外傷」などはやはり十分な麻酔薬が使用されていないことが原因だと思います.心臓麻酔を行なう麻酔科医の大部分が循環管理だけに目が行って,「本来の麻酔管理」がおろそかになっていることに警鐘をならしたいと思います.また,全麻C/Sに関しても子宮収縮抑制の目的で児娩出後に麻酔薬濃度を低くするように奨める教科書の記述が問題なのだと考えています.妊産婦はMACは低くても麻酔薬の必要量は変わらないのです.また,現在のバランス麻酔のレベルの麻酔薬濃度で弛緩出血で困る程子宮収縮が抑制されることはほとんどありえないことも理解すべきかと思っています.外傷にしても現在の麻酔薬の心抑制はわずかであり,血圧低下を理由に麻酔薬濃度を下げてもこれで血圧が上昇するわけではないのです.結局出血に対するvolume load以外に血圧を上昇させる方策はありません.麻酔薬の薬理,そして循環生理などをもっときっちり考えるべきでしょう.
Commented by yamorimo at 2011-05-26 17:16
SH先生
コメントありがとうございます。
ざっと書いたのですが、帝王切開では最新の術中覚醒率は0.26%ですので改善されているのは間違いないですね。外傷では新しいエビデンスがないという発表になっています。心臓だと、やはり1%くらいはありそうですね。患者の重症化と早期覚醒の流れがあるのでここは改善は難しいのかもしれません。
これからは小児が問題なのかなと思っています。
Commented by SH at 2011-05-26 22:14 x
>これからは小児が問題なのかなと思っています。
そうですね.新生児はともかく6ヶ月を超えてくると思春期に至るまで脳波的には成人よりも高い濃度の麻酔薬が必要になります.麻薬も成人の倍近く必要になります.「小児は感受性が高いから麻薬は控えめに」なんて間違った考え方で管理すると術中覚醒の危険性が高くなるということかと思います.難しいのは思春期から20代半ばくらいまでの年齢の患者です.人によっては小児に近いパターンを示す人間から,成人のパターンを示す人間までまちまちです.まあ人間の年齢は必ずしも物理的年齢ではないということなんでしょうけど...
Commented by yamorimo at 2011-05-26 22:25
Hara先生と話したのですが、SH先生もご存じのように新生児では麻酔薬はほとんど必要ない。
では、その後の年代でどうなのかということですね。臨床研究ではせいぜい3歳以上が対象ですので、1-2歳辺りが未知の分野のようです(評価できないということでしょう)。小児では術中覚醒によるPTSDは少ないという報告もありますが、全身麻酔後の社会性障害みたいな部分は、単に麻酔薬の作用だけではないのかもしれないですね。
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