「ほっ」と。キャンペーン

レミフェンタニル麻酔後の疼痛コントロール

Maintenence anaesthetics during remifentanil-based anaesthesia might affects postoperative pain control after breast cancer surgery
British Journal of Anaesthesia 2010


臨麻のランチョンで図らずも2人の演者が紹介したのがこの論文。
レミフェンタニル麻酔後の疼痛コントロールについてプロポフォールとセボフルラン麻酔で比較している。

対象と方法
214名の予定乳癌手術患者を対象。
セボフルラン群とプロポフォール群さらに各々をレミフェンタニルhigh dose群(4ng/ml)とlow dose群(1ng/ml)に分けた。つまりSH群、SL群、PH群、PL群の4群に分けた。
セボフルランとプロポフォールはBIS40-50を目標。
手術終了30分前にモルヒネ2mgを投与して、あとはiv-PCAで投与。
術後疼痛の状況、モルヒネ使用量、PONV、シバリングの発生を比較。

結果
a0048974_22381580.jpg


術後のモルヒネ使用量、VASともにSH群で有意に高かった。
PONVはPL群で有意に低かった。
シバリングの頻度はPH、SH群でPL群、SL群とくらべて高かった。

考察と私見
この研究でのH群はレミフェンタニル4ng/mlを目標にTCI投与しているがせいぜい0.2μg/kg/minと決してhigh doseになっていないところが面白い。従ってせいぜい中等量というところだが、結果としては低用量とくらべてセボフルランとの組み合わせでは術後痛が強いという結果になっている。筆者らはレミフェンタニル投与後のhyperalgesiaがプロポフォールでは抑制されたためと考察しているがどうだろう。
一方でシバリングに関しては、high doseのレミフェンタニルではプロポフォール、セボフルランともにlow doseよりも多かったという結果になっている。レミフェンタニル以外に投与されているオピオイドは、モルヒネ2mgなのでtransitional opioidとしては少ない。乳癌手術後のVASが4cmくらいあるので、麻酔のデザインとしてやや問題があるようにも思われる。

いずれにしても今後レミフェンタニルのベターなパートナーは何かということがポイントになってくるだろうからこの論文は目を通しておきたい。

まったく余談だが、今回の学会では論文をスキャナーで読み込んで貼っただけというプレゼンが目についた。
分かりやすいプレゼンを目指すのであれば自分でグラフを書き直したり、せめてカラーで補助線などを追加すべきである。
[PR]
by yamorimo | 2010-11-10 22:51 | 麻酔 | Trackback | Comments(5)
トラックバックURL : http://eanesth.exblog.jp/tb/11549461
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by yshiba at 2010-11-11 23:46 x
yamorimo先生,棒グラフなら書き直すこともできますが,生存曲線や回帰直線とその個々の点などは,さすがにソフトを使って書き直せないですよね.生データがないかぎり絶対に書き直すのが無理っていう時に書き直してあるスライドをみると,どうやって?と思うのです.適当にパワーポイントで線を書いているだけなんでしょうか?
Commented by yamorimo at 2010-11-12 22:31
yshiba先生
ここの一言がSanuki先生に大きく取り上げられてしまったのですが、、
棒グラフ系は物差しで測ってできるだけ正確に書き直します。エラーバーなどは見にくければ省略します。オリジナルが表であってもグラフ化したり、グラフの種類を変えることもあります。
もちろんご指摘のように書き直せない場合もあります。この場合でも、数字の部分を大きく書き直したり、補助線をカラーで追加したりはしています。
適当にしている人はいないでしょうが、短時間に受け手に理解してもらうことが重要ですので必ずしも正確に移す必要もないだろうと思います。生データーがなくてもスキャンした画像をPC状でトレースすればよいわけです。まず、パワーポイントにスキャンした画像を貼り付けて、オリジナルの上に自分で上書きしていき、最後に画像を削除します。散布図でも根気よく作業すれば可能です。
Commented by yshiba at 2010-11-12 23:07 x
なるほど,正攻法ではなく,技が光る自分ながらのグラフの作り方があるんですね.勉強になりました.尋ねて良かったです.
Commented by SH at 2010-11-13 16:14 x
ymorimo先生,yshiba先生,
画像データの各ポイントから実際の値を計算してくれるソフトもあります.
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/business/se149124.html
とか...
Mac用のもあったと思います.数値化できれば後の料理は簡単です.
以前Entorpy値の変換用spline関数をこういった方法で読み取ったことがあります.お試しあれ.
Commented by yamorimo at 2010-11-13 21:28
SH先生
情報有り難うございます。
私がマニュアルでやっていることがソフト上でやれそうですね。
医療用に役に立つフリーやシェアウェアの紹介も本ブログのネタになりそうですね。
<< 鎖骨下穿刺後の確認 臨床麻酔学会その他 >>