Intraoperative high-dose remifentanil increases post-operative shivering

remifentanilとシバリングについては「臨床麻酔」誌に駄文を掲載させていただいた。最近術中のremifentanilのdoseと術後のシバリングに関する論文がでたので追加で紹介したい。

Intraoperative high-dose remifentanil increases post-operative shivering.
Nakasuji M, et al. Br J Anaesth 2010;105:162

婦人科手術患者50名を対象にした(年齢は60歳未満)。
手術時間が4時間以上になったものは除外。

麻酔は、ミダゾラムの前投薬(2.5-5mg)
プロポフォール(BISで30~50が目標)
レミフェンタニルは、0.1μg/kg/min(low dose)あるいは0.25μg/kg/min(high dose)を使用
硬膜外から収縮期圧が術前の0から-20%になるようにロピバカインを投与(12.5-25mg/h)。術後は8mg/hで投与。
腹膜の縫合後フェンタニル100μgを硬膜外投与。ドロペリドール1.25mgを手術終了時に静注。
レミフェンタニルとプロポフォールの投与は手術終了時に中止。

術中は体温をモニタし、温風式加温器を使用(直腸温37℃で中止)。
術後のシバリングの程度を30分ごとに5段階で評価した。

2群間に患者の背景に差はなし。
抜管までの時間に差はなし(平均15分なので少し長いか?)。
術中のロピバカイン使用量はlow dose群で多かった(50 vs 40 mg)。
術中のプロポフォール使用量、循環動態、BIS値には差がない。

術後のシバリングは頻度はhigh dose群で有意に多かった(8% vs 32% in 手術室)(12% vs 28% in 病棟)。
患者の体温(直腸、皮膚温)は術中と抜管後で群間差なし。

私見
この研究はよくデザインされていて、術中のレミフェンタニルのdoseが術後のシバリングの関係をクリアーに示している。筆者らはシバリングはオピオイドの急性耐性によって生じた離脱症状だろうと考察している

もちろんいろいろ考えるべき点はある。硬膜外の投与については使用したロピバカインの濃度が記載されていないため詳細が分からないのだが、硬膜外によってある程度充分な鎮痛が得られた状態でレミフェンタニルを投与したとすると、0.25μg/kg/minという量は相対的にはhigh doseだった可能性もある。
(術後は0.2%で4ml/hくらいだろうが、術中は0.25%で5-10ml/hくらいの感じだろうか?うちの婦人科手術だと硬膜外がきちんと入っていればこのくらいのロピバカインを使えばレミフェンタニルは0.1μg/kg/minくらいしか使わないが、、)
したがって実際の臨床で0.25μg/kg/min使用するとシバリングが起こりやすいとは必ずしも懸念する必要はないだろう。

ということで結果は非常に重要で頭に入れておく必要があるが、どこまで自分の臨床に関係するかはなんともいえないというのが私の意見である。
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by yamorimo | 2010-09-19 23:19 | 麻酔 | Trackback | Comments(3)
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Commented by scarywife at 2010-09-20 21:01
yamorimo先生:
賛成です。硬膜外麻酔が利用できる状況では、硬膜外麻酔を優先すべきであり、レミフェンタニルはバッキングさせず、normocapnea - hypercapneaを保っても自発呼吸がでず、安らかに手術が進行できる程度にとどめるほうがよい(特に悪性手術では)ということを証明できるような多施設間臨床研究はできないでしょうか?
Commented by yamorimo at 2010-09-20 22:08
コメント有り難うございます。
私の意見としては、硬膜外がよく効いていればレミフェンタニルは補助的に、逆にレミフェンタニル主体で行くのであれば硬膜外は補助的にというものです。この研究のhigh doseはちょっとどっちつかずかな部分がありそうです。もちろん研究の目的を考えるとこれでOKだと思います。
Commented by yshiba at 2010-09-22 23:53 x
フェンタニル主体でバランス麻酔をしていたころはシバリングはドプラム60ー80mg投与すると消失しました.しかしレミフェンタニルを使い始めてからはドプラムでは対応しきれないことが多いですね.そう思うのは僕だけでしょうか
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