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The role of the Perioperative Period in Recurrence After Cancer Surgery ⑤

Anesthetic Induction Drugs and Volatile Anesthetics

ラットのモデルにおいて、ケタミン、チオペンタールとハロタンはNK細胞の活性を抑制して肺癌の転移を増加させることが示されている。血液中のNK細胞の数はケタミンとチオペンタールにより有意に低下した。ハロタンも同様だが統計学的には有意ではなかった。ケタミンのαあるいはβアドレナリン受容体への作用がNK細胞の活性低下の一因であろう。チオペンタールとハロタンの免疫抑制の機序は明らかではない。
プロポフォールにはこのような作用は認められず、むしろ保護的である。この機序にはCOX-2の抑制、PGE2の抑制、抗腫瘍免疫の増強作用による。
プロポフォールとレミフェンタニル麻酔中には、フェンタニルとイソフルラン麻酔中に比べて抗腫瘍作用と創傷治癒に関与する抗炎症性サイトカンであるIL-10の上昇がみとめられている。癌患者の麻酔にはTIVAがより適しているかもしれない。
この他ミダゾラムはIL-8の抑制により免疫を抑制する。

Regional Anesthesia

脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔を含む区域麻酔は、手術後の免疫抑制の要因である手術によるストレス反応を抑制する。全身麻酔に区域麻酔を併用することで,オピオイドや吸入麻酔薬の使用量を減少させる。これらの効果は癌患者の麻酔において有益である。
乳癌患者の手術時の麻酔では、全身麻酔に傍脊椎ブロックを併用することで、腫瘍freeの期間の延長と再発率の低下をみとめた。同様の結果は硬膜外麻酔の併用により、前立腺癌や大腸癌手術で示されている。最近の研究では乳癌手術において、プロポフォールに傍脊椎ブロックを併用することで催腫瘍性のサイトカインであるIL-1βの低下と、抗腫瘍性のサイトカインであるIL-10の上昇をみとめている。
これらの結果の解釈にはまだ注意が必要であるが、現在大規模な研究が進行中である。

Anemia and Perioperative Blood Transfusion

貧血は癌患者の予後と関連がある。しかし貧血患者に輸血をすると予後が改善するかもしれないが、輸血自体も癌患者ではリスクとなりうる。
実際に、transfusion related immunomoduration (TRIM)は腎移植の際に大量輸血を受けると成功率が高くなるということで認識されている。大腸癌手術におけるメタアナリシスでは輸血と癌の再発には弱い相関がみとめられている。輸血と癌の再発についてはまだ結論はでておらずこれらの結果の解釈には注意が必要である。
現在のところ、術前に患者の状態を最善にしておくこと、手術時には出血をできるだけ減らすことそして適正な輸血を心がけることが重要である。
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by yamorimo | 2010-09-03 23:37 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)
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