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レミフェンタニルと心臓外科手術

Remifentanil Reduces the Release of Biochemical Markers of Myocardial Damage After Coronary Artery Bypass Surgery: A Randomized Trial.
J Cardiothorac Vasc Anesth. 2010Jan 6. [Epub ahead of print]

(オンラインでは読めるがまだin press)

昨年来、レミフェンタニルとストレスフリーの麻酔を目標に紹介してきたが、アウトカムはどうよというとまだまだエビデンスがないのが現状である。
心筋の保護というとセボフルランが有名だが、この論文はCABGの麻酔をプロポフォールとフェンタニル、あるいはレミフェンタニルで行い、心筋保護効果について心筋のマーカーを使って検討している。

人口心肺を使うCABGの患者(40名)を対象。
いくつか除外項目(重症例を除外)。

ACE阻害薬以外は術当日まで継続。
抗血小板薬は1週間前に中止。

前投薬はモルヒネ(0.1mg/kg)とスコポラミン。
麻酔導入はエトミデートとフェンタニル5μ/kgとパンクロニウム。
プロポフォールを3.6mg/kg/hを標準に適宜調節。

R群は、
レミフェンタニルを1μg/kgボーラス後0.5μg/kg/minで30分間投与(胸骨切開までに)。あとはフェンタニル20μg/kg

F群は、レミフェンタニルの代わりに生食。フェンタニルを20μg/kg

随時採血して、心筋マーカーの測定。
血行動態、カテコラミンの使用を記録。

結果
CK-MB、トロポニンなど心筋マーカーの上昇はR群で低値であった。

不整脈の発生と除細動の必要な患者はF群で多かった。

R群では、
pre-bypassでのMAPとSVRIが低値。
大動脈遮断解除後のCIが高値。
カテコラミンの使用が少ない。

F群で1例、術後心筋梗塞となりIABPを使用。

抜管はR群で早かったが、ICU滞在時間と入院期間に差はなかった。

考察
レミフェンタニルとフェンタニルはどちらもオピオイド受容体を介して(主としてμ受容体)心筋保護効果があることが動物実験では示されている。
今回の差は単純にdoseによるものか?と考察されている。

実験的にはオピオイドはミトコンドリアのK-ATPチャネルを介して心筋保護効果を示す。

気になる点
F群ではレミフェンタニルの代わりに生食を投与しているのでこの時期にプロポフォールの大量投与が必要だったとい記載。読んでもよく分からないが、手術開始時にはプロポフォールと生食で麻酔している感じだろうか?
もう少し臨床的にacceptableな条件で追試が必要だろう。特にレミフェンタニルのdoseが0.5μg/kg/min必要ということになると低心機能の症例では使いにくいだろう。ただこの結果は一時的にこの量使えばよいということなので手術開始から胸骨切開までと思えば可能なのかもしれない。

イントロダクションでは、冬眠にはオピオイドが重要な役割を占めているとされている。この意味でも、心筋に限らず今後オピオイドの臓器保護効果は注目されるのかもしれない。
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by yamorimo | 2010-05-04 00:25 | 麻酔 | Trackback | Comments(0)
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