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TIVA再入門その⑥

前回はTCIによる麻酔導入時に患者の反応が消失したとき(LOR)の効果部位濃度で個々の患者のプロポフォールに対する感受性を評価することを説明しました。3コンパートメントモデルを麻酔導入時に適応するには限界があり、初期の目標血中濃度は3μg/ml以下がよいと考えています。
これ以外にも注意点があります。
プロポフォールは輸液回路のできるだけ患者に近いところから投与し、輸液速度も充分速くしておくことが重要です。点滴漏れにも注意します。
麻酔前投薬はLORのプロポフォール濃度に影響を与えるので投与できません。データーとしてはこんな感じになります。
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オピオイドも影響があるので、プロポフォールで就眠後にオピオイドを投与する方がいいと考えています。
データはプロポフォール3μg/mlとレミフェンタニル0.5μg/kg/minをどちらを先に投与すべきかを検討したものです。当然プロポフォールから投与した場合は、LORの効果部位濃度と覚醒時の効果部位濃度はよく一致しますが、レミフェンタニル0.5μg/kg/minを3分間投与し、0.25μg/kg/minに変更後プロポフォール投与を開始すると低い濃度でLORとなり覚醒時濃度との相関が悪くなります。この辺りはいろいろ意見のあるところです。低い濃度で就眠するからといってもレミフェンタニルを併用して意識がなければそれでいいのではないかという意見もありますが、ここでは安全を考えてオピオイドよりプロポフォールの投与を先行することを推奨しておきます。
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ここで注意したいのはプロポフォール投与を先行した場合に比較的高い濃度で就眠し、これよりも低い濃度で覚醒する症例が散見されることです。こういう症例があるからやはり術中BISモニタは必要になるのですが、次回はこの辺りの問題についてデーターをお示しします。
by yamorimo | 2010-03-08 22:06 | 電脳麻酔学入門
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